主腐の萌え充の日々

数年ぶりにぶり返したBL熱。読んだ小説や漫画のレビューです。

1万年+3日

以前7~8年前にBLにはまっていた頃に気になっていた作品です。
ですがその時は、悩むだけで読まないままBLから遠ざかってしまっていたので、ぶり返した今、どうしても気になってまとめて購入しました。シリーズなので1巻目の1万年+3日を含め4冊。


発行日を見ると10年前になるんですね。。
でも、10年前の古さは一切感じませんでした。
さすがに10年選手になると文章は流行に影響されなくとも挿し絵は時代を感じさせたりするところもあるでしょうけど、今見ても全然今風だし、ジャケ買いしてもいいくらい素敵です。挿絵も凄く良かったです。


話の内容は、大学内で変わり者・美人で有名人の白川(受)と偶然空を見上げた事をきっかけに距離を縮めていく平凡な西野(攻)の恋愛を通した互いの成長記録とでも言うべきか・・・。互いに互いを本気で好きになっていく事で人間的にも成長しようとする二人の学生らしいまっすぐさが、本当に若者の学生ならではの恋愛で、こんなアラフォーになった自分にはもう無縁の様な純愛。でも、そうだよね。そうだよね。とはじめての恋愛で誰しもが経験するような熱に浮かれたような気持ちや情熱をリアルな描写がもはや忘却の過去になっていた気持ちを思い出させられます。


白川に恥ずかしくないような人間になりたいと就職活動を軸に成長をしようとする西野。
実家は金持ちお坊ちゃん、世間ズレしている白川に対し、何しに大学に学びに来てるんだと憤る西野から、少しだけ考えが改まっていく白川。


ただただ好き好きと言い合ってても駄目になってしまうんだと分かっている西野。
だから、何時自分ちに帰るんだとちょっとだけ白川を突き放す西野。
(でもすぐ会いたくなっちゃうんですがww)


白川に魅力がいきがちだけど、私は西野だなと思ってしまう。
本当にこんな風に考えられる西野が白川以上に魅力的です。


コバルト文庫だからか、エッチ展開はぬるいだろうなと予測してましたが、シリーズ4冊、エッチにこぎつけるのは3冊目。あ~やったね西野。おめでとう西野。ようやくここまで・・頑張った。本当に頑張った。とエールを送りたい。1巻に至っては最後の最後にようやくキス。というスローペース。



BLは基本1冊で完結。その間に何度かのエッチシーンもあればお互いの気持ちを知って相思相愛の告白もあります。それらが、コバルト文庫というのも手伝って、超・超スローペースで進んでいく訳です。ですが、ものすごっくひきつけられます。セリフ一つとってもグッと来るものがあります。もどかしいけどその西野以上のおあずけ状態がものすごく萌えさせられます。


そして、最後の最後に2人の関係を噂で聞いた大学の新人がコッソリ2人を観察するいたずらシーンがあるのですが、白川がこの新人に挑発してけん制してきます。愛する西野を守るため・・。
あの人を寄せ付けなかった白川が、駆け引きなんて出来るほど対人スキルも高くなかったはずの白川が最終巻ではそんな小悪魔ぷりな態度を発揮するのも見ものです。


派手なエッチシーンも派手な展開もないのにここまで人をひきつけさせるのは、それだけ作家の麻生さんの実力がなせる業だと思っております。素晴らしい作家さんだと思います。1日時間があれば4冊一気に読めると思います。というか、もうそうせずには居られないほど、白川と西野にハマっていけると思います。


過去、何度かこの方の作品を見ているはずなんですが、イマイチ覚えていないんですよね。
悪い印象もなくて、そこそこ面白かったと思うんですが、この1万年シリーズだけは今後もずっと忘れないで覚えていける作品だと思います。



そして、4冊とは言わずに何冊でも二人の成長を見守っていきたくなります。


最後に数行だけ、先の2人を知ることが出来ます。
この数行があるかないだけで読後感が全然違ってくると思います。
あとがきに後は読者の人がその後を想像してね。とありましたが、読者へ安心を持たせるための作家さんの優しい配慮からの数行だと思っております。


私が予想する2人は、平凡なリーマンに落ち着いた西野と大学院へ進みそのまま研究室に残って好きな事に没頭する白川が一つ屋根の下で楽しくも忙しい日々を送るんだろうな・・と思っております。



めちゃ萌えたんですが、エッチは控えめだったからね。。
商業誌じゃなくて良かったからいちゃいちゃ多めでその後も同人の方で発表されて居たらな~~と10年前の作品だというのを忘れて考えてしまった次第です。


本当それだけ良かったという事で。星5つの大満足作品です。



一万年+3日 (コバルト文庫)
一万年+3日 (コバルト文庫)
著者:麻生 玲子
出版社:集英社
カテゴリー:本